イイ写真のためのカメラの基礎知識
今回はデジタルカメラでイイ写真を撮るための基礎知識をお伝えします。
日常を切り取る1枚や、旅行先での思い出に1枚、お子さんの運動会の写真など、写真を撮る機会はたくさんあります。でもせっかくの写真がキレイに撮れなかったらテンションも下がってしまいますよね。今回はその一瞬を見逃さないためのカメラの基礎知識についてお伝えしていきます。今回はデジタルカメラでの写真のテクニックについてまとめていますが、iPhoneでの撮影にも関わってくる内容です。この記事を覚えておくと、AirPriに使えるiPhoneの写真を使った撮影のときに、より自分好みのキレイな写真を撮ることができます。ここではデジタルカメラの基礎知識に絞ってお伝えしていきます。
1. カメラの構図の基本
まずは「構図」についてです。構図とは、「画面の構成」のことです。あまり写真撮影に慣れていない人でもこの構図に沿って撮影すれば、ある程度の写真を撮ることができます。ここでは代表的な構図をご紹介します。
日の丸構図
この写真の構図は、最も皆さんが見慣れている構図だと思います。撮りたい被写体をカメラのど真ん中に来るように配置して撮影します。そうすることによって、被写体を見てほしいという撮影者の意図が伝わります。なので日の丸構図の写真は初心者の人でも撮影しやすい反面、初心者感が出やすい構図にもなります。この構図では、背景をぼかして撮ると、より被写体が際立ちます。花や人物、商品の撮影などでよく見る構図です。
放射線構図
これも目にする機会が多い構図です。画面の一点から、複数の線が放射状に伸びてくるように見える構図です。写真に奥行きを表現できるので、広がりや躍動感などを出したいときにこの構図で撮影します。まっすぐな道路、新幹線、ビル街などにおすすめの構図です。学校のまっすぐな廊下の写真はこの構図で撮られていることが多いですね。放射線上の中心の一点を写真の真ん中からずらして撮るとおもしろい写真になります。
シンメトリー構図
この構図は、写真の左右か上下のセンターラインを境界線にして、対称になります。心理学的な面からいうと、人間には左右対称のものに対して美しさや誠実さを感じて好感を持つ「シンメトリー効果」があります。湖面に移った風景写真や海外の宮殿など、シンメトリー構図で取ると、バランスが良く被写体の美しさを強調する写真が撮れます。神社なども正面から撮るとシンメトリーになることが多いので、この構図の写真が多いです。
2分割構図
写真に十字に線を引いたとき、上下や左右で違うテイストが映るようにした構図です。上下または左右が同じ割合で撮影できるので、バランスの取れた写真に仕上がります。風景写真でよく見かける構図で、バランスと共に風景の広がりも写真に収めろことができます。山と青空の写真などにはこの構図をよく使います。湖面などをこの構図で撮るとシンメトリー構図も相まって美しい写真になります。また、斜めの2分割構図もあります。
3分割構図
写真の縦と横を3分割にしてその分割線の交差部分に被写体を合わせて撮る構図です。この撮り方は、写真の中の空間に広がりを持たせる効果があります。また、写真自体がオシャレな雰囲気をまとうという点も大きなメリットの1つといえます。この構図でのオススメ写真はビーチの写真です。3分割構図は、風景だけでなく人物や物撮りのときにも有効です。人物の目線の先に空間を持たせることで、より自然な写真に仕上がります。
トンネル構図
この構図は別の名を「額縁構図」ともいいます。風景の写真を撮ったとき、風景だけを撮影するよりも手前の壁などを少し写真に入れることで、奥の風景を強調させる効果を持つ構図です。つまり被写体の周りをトンネルのように囲むことで、被写体により注目がいくようになるのです。ホテルの窓から見える海も、海だけを画面いっぱいに撮影するのではなく、窓枠を入れて撮影することで写真の奥行きを表現することができます。
アルファベット構図
この構図は、アルファベットの「C」や「S」の形を写真の中に作り出すことで、動きや奥行き、滑らかさなどを表現できる構図です。山の曲がりくねった道は「S」の字を意識して撮ることで、写真に奥行きやストーリーが生まれます。テーブルに置かれた料理の写真を撮るときはあえてお皿を写真からはみ出すように撮ると、お皿の形が「C」になりバランスのいい写真になります。アルファベットの向きは特に気にしなくてもOKです。
他にも対角線構図や、ローアングル、ハイアングルなど構図はいろいろあります。写真を見たときに、この写真はどの構図かなと考えながら見ると写真の勉強にもなるのでオススメです。
2. カメラの「露出」ってなに!?
露出というのは、光を当てる事を指しています。カメラは光を取り込んで写真にしていますが、デジタルカメラの場合は光を写真として記録するイメージセンサーという部分があり、この部分に光を当てることで写真を撮ることができます。露出とは、カメラに取り込んだ光の量のことで、結果的に写真の明るさを決めます。カメラでこの露出(光の量)を決めるには、大きな要素が3つあります。
3. カメラの「絞り」ってなに!?
カメラのレンズの中にある薄い板でできた小さな部品のことを絞り(絞り羽)といいます。この部品で外からの光を絞って調節しています。たとえば、昼間で晴れているときの外での撮影は、光が多すぎて写真が白飛びしてしまうので、絞りで光の量を小さくします。逆に夜の写真のときは、光が少ないので絞りを開いた状態で多くの光を写真に取り込んで撮影することで、夜景をキレイに撮ることができます。
F値
絞りで光の量を調節して、どれくらい絞りが開いているかを表す値を「F値」といいます。F値は別名「絞り値」ともいいます。F値を調節することで、まず「写真の明るさ調整」ができるようになります。
たとえば、F値の数値を小さくする(絞り羽を小さく動かす)と、取り込める光の量が多くなるので写真は明るくなります。逆に、F値の数値を大きくする(絞りを大きく動かす)と、光の量が少なくなるので、写真は暗めになります。
F値を上げたときに、写真が暗くなってしまうのを防いでくれるのが、後でご紹介しているISO感度です。写真の露出を構成する3つの要素をうまく調整することで、撮影者の意図する写真に仕上げることができます。
被写界深度
F値で、ピントを合わせる範囲を調整することもできます。この範囲のことを「被写界深度」といいます。被写界深度は、F値を調整することと、カメラから被写体までの距離によって決まります。F値を小さくする(絞りが開いている状態に近い)ほど「被写界深度は浅くなる=被写体のみに焦点が合って背景がボケやすく」なります。これを利用したのが、iPhoneにあるポートレート撮影モードです。
逆に、F値を大きくする(絞りが閉じている状態に近い)ほど「被写界深度は深くなる=被写体の背景も焦点が合う」ということになります。また撮影距離(被写体までの距離)が近くなるほど、被写界深度は浅くなり、被写体までの距離が長くなるほど被写界深度は深くなります。
4. カメラの「ISO感度」ってなに!?
夜景の撮影のときは、光の量が少ないのでシャッタースピードが長くなります。その間に光が動くので、結果「手ぶれ」が発生します。ここで登場するのが「ISO感度」です。このISO感度とは、光の量を電子的に増幅させる指標のことです。ISO感度を調節することで夜景もキレイになります。ISO感度を上げると、少ない光からカメラが電子的に光を作って明るくしてくれます。
ISO感度は、100、200、400、800、1600、3200、6400…と倍ずつ上がっていきます。
夜景写真や部屋の中など光が少ない場合にISO感度を調整すると、暗いところでも写真を撮ることができます。ただ、ISO感度は光を電子的に増幅させる機能で、あくまでもカメラが作った光なので、ISO感度を無闇に上げすぎると画像にノイズが入って画質が悪くなります。できればないほうが写真が綺麗になるので、通常は最小値の100にしておくことをオススメします。
ISO感度を上げるメリット
ISO感度は光を電子的に増幅させています。たとえば右の写真のように、夜景を撮影したときISO感度が低いまま撮ると、シャッタースピードが遅い撮影になるので手ブレ写真になってしまいます(写真左)。ここでISO感度を上げると、光の量が増えるのでシャッタースピードが上がり、夜景でもクッキリ撮影することができるようになります(写真右)。ISO感度は、キレイに撮影できる範囲の中でできるだけ低い値にするといい写真になります。その理由は次でお伝えしています。
ISO感度を上げるデメリット
ISO感度は、暗いところでの撮影や昼間でも動きの早いものを撮影するときに有効な手段です。かといってISO感度を上げすぎると、写真の画質にノイズが入ってしまい、綺麗な写真を撮ることができません。これが先ほどお伝えした「キレイに撮影できるISO感度の中でもできるだけ低い値にする」という理由です。ISO感度は、あくまでも電子的に光を増幅させているので、使わないときは基本的に最低値の100にしておくといいと思います。
5. シャッタースピードについて
シャッターというのは、設定された間だけイメージセンサーに光を送る部品のことです。シャッタースピードは、1秒、1/2秒、1/4秒…1/125秒、1/250秒…1/2000秒というふうに表示されます。たとえば1/2秒の場合は「0.5秒光を取り込む」ということを指しています。反対に1/2000秒の場合は、0.0005秒だけ光を取り込んだ写真になります。早く動くものを撮影すると、その違いは顕著なものになります。
動いているものを撮影する
たとえば動いている電車、スポーツをしている人、走っている犬、歩いている人など、外で動いているものを止まっているように見せたいときにシャッタースピードを早くします。厳密にいえば被写体のスピードや被写体までの距離などによってシャッタースピードは変わります。
また、シャッタースピードが早くなると、光の量が減り写真が暗くなりがちになるので、ISO感度の調整も必要になります。
6. F値とISOとシャッタースピードの関係
F値とISOとシャッタースピードは、とても緊密に連携しています。方法が違うだけで、どれも光を調整する機能だからです。この3つの値を調整して写真撮影をするシーンを、例として4つご用意しました。
① 電車を撮りたいのでシャッタースピードを上げたいとき
シャッタースピードを上げるということは、光の量が抑えられるので、F値とISO感度を上げる必要があります。F値を小さくする(絞りが開いている状態にする)ことで光を確保します。また、ISO感度を上げることで電子的に光を作り出し、写真が暗くならないように調整します。
② 背景をボケさせた写真を撮りたいとき
背景をボケさせた写真を撮りたいときは、まずF値を小さくします。そうすると写真に取り込む光の量が多くなるので写真が白飛びしやすくなります。なのでISO感度とシャッタースピードを調整します。ISO感度(カメラが作り出す光の量)は下げる必要があります。またシャッタースピードが長いと光の量が多くなるので、光の量を抑えるためにシャッタースピードは早くする必要があります。
③ 全体に焦点が合う写真を撮りたいとき
全体に焦点がある写真を撮るには、被写界深度を深くするために絞りを絞ってF値を大きくします。でも絞っているぶん光の量が少ないので、それをISO感度を上げることと、シャッタースピードを遅くすることで光がたくさん入るように調整します。
④ 滝の水の流れを撮りたいとき
滝に流れる水の流れの撮影は、まずシャッタースピードを長く取る必要があります。そうすると光の量が増えて白飛びしやすくなるので、F値とISO感度を調整します。F値は大きく設定(絞り羽を絞る)して光の量を抑えます。またISO感度で光を作り出す必要もないのでISO感度も下げます。
ちょっと難しかったかもしれませんが、ここを抑えておくとiPhoneで写真を撮るときにも役に立ちます。露出の3要素はiPhoneでも登場してきます。そんなiPhoneで写真を撮るコツについての記事もあるので下にリンクを貼っておきます。
7. AirPriでの写真機能について
AirPriでは、作りたいオリジナルグッズに写真を使うこともできます。使える写真や、その写真の使い方など、AirPriのおすすめ記事をまとめました。
AirPriで使える写真について
AirPriで使える写真は、3つあります。1つ目はあなたのスマホの中の写真です。2つ目はAirPriがご用意している写真です。3つ目は世界中のカメラマンが撮影した様々な写真です。使える写真について詳しくは「AirPriに写真を使用する!」という記事でご紹介しています。
写真にエフェクトをつける
AirPriチームおすすめの機能です。写真をモノトーンにしたりセピアにしたりと1枚の写真の表情を変えることができます。
これについては「AirPriイチオシ!写真にエフェクトをつける!」という記事で詳しくご紹介しています。
写真の背景を消す
AirPriではAIを使って写真の背景削除もできます。被写体だけが欲しいときはオススメの機能です。同じ写真を使っても背景を消すことで全然違う写真にすることもできます。これについては「AirPriのオシャレ機能!写真の背景を消す方法!」という記事で詳しくご紹介しています。
写真を様々な形で切り取る
写真は長方形だけではおもしろくありません。AirPriではいろいろな形に切り取ることもできます。ハートなどのシェイプはもちろん、文字の中に写真を入れることも!?これについては「AirPriイチオシ!写真を色々な形で切り取る」という記事で詳しくご紹介しています。
写真の透明度を調整する
写真の透明度を調整することもできます。薄くして文字を重ねたり他のイラストとのバランスを見て少し薄くすることもできます。これについては「AirPriでデザインの透明度を調整する方法」という記事で詳しくご紹介しています。
写真を反転する
写真を反転させることもできます。反転機能を使うとおもしろい写真もできますが、反転しない方がいい写真もあります。反転機能については「AirPriの助かる機能!反転機能を使ってみよう!」という記事で詳しくご紹介しています。
8. まとめ
今回はカメラの基本について見てきました。AirPriが提携している画像サイトの写真は、ここでご紹介したような構図やF値、ISO感度、シャッタースピードなどを調整して撮られていると思いますが、自分で撮影するときにも参考にしていただければ嬉しいです。「その一瞬」はそのときだけです。なるべくいい形で写真に残していただければと思います。
最後までお読みいただきましてありがとうございました。